絶望の部屋(再)
真っ暗になった洞窟の中を思い出すように歩き男の後ろに立った。
 
 
「おい、余計な行動起こしてみろこいつの頭が吹き飛ぶからな。」
 
 
一也の頭に銃を突きつけ自信満々そうに言っていたが声は震え情けない姿だった。
 
 
 
真っ暗になったとはいえ僕には少し見えていた。他のみんなには見えていないみたいだったが日頃から真っ暗な部屋に常に居たから抵抗がついたのかどこに人がいるぐらいの認識はできた。
 
 
 
背後に立った僕はあの時と同じように刀を振り上げ切り裂いた。
 
 
ドサっドサっと男の体が落ちていく音が聞こえた。
 
 
「お、おい勇哉今やったのはお前か?」
 
 
「そうだよ。よかったね無事で。」
 
 
僕の声で位置を掴んだのか一也は僕に飛びかかってきた。
 
 
「おい勇哉。俺行く前に言ったよな。
あの時のことを忘れられないなら絶対に刀を抜くなって。
 
 
自分でわかってるんだろ?お前の今の状態は誰が見たって異常なんだよ。だから栞や七海も近づかなかっただろ。
 
なぁ勇哉頼むよ。いつものお前に戻ってくれよ。」
 
 
「わかってるよそんなこと。
 
僕だってこんなんになりたかったんじゃないよ。お前に何がわかるんだよ僕の何がわかるって言うんだよ。
どうしようもない状況で親友が殺されかけてるのに何もせずはいそうですかって見てろってゆうのかよ。
 
そんなんならな俺はお前の友達なんかじゃねぇよ。何もわかってないくせにいちいち口出ししてくんなよ。」
 
 
バンっ。
 
 
僕は言葉発し終わったと同時に殴られた。
 
 
「勝手にしろ。」
 
 
そう言い残し上に乗っていた一也は何処かに行ってしまった。
 
 
やっちゃったよ。全部全部おしまいだ。
 
1番の親友があんなに心配してくれてたのに酷いこと言っちゃったよ。
 
 
 
グスッ。なに泣いてるんだろ僕は。
何対して泣いて何に対して不満だったんだろ。
 
 
一也のゆうことは全て正しかった。
それなのにそれなのに…
 
 
情けないよな僕って。
腕もこんなに震えてもう刀を拾うことすらできないや。
 
 
それもこれも全部わかっていて一也は僕を見捨てず戻ってこいと言ってくれた…でも僕はそれを最悪の答えで返してしまった。
 
 
友達失格だよな。
もう一也も僕のこと友達とも思ってないか。
 
 
じゃあよかった。もう僕に心残りはないやここで殺されるのを待っていよう……
 
 
 
最後にもう1度会って謝りたかったよ一也。
 
< 81 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop