絶望の部屋(再)
友達の定理ってなんなんだろ。
 
 
僕と一也は友達って言えたのかな?
信じてる。何でも話せるとか言っても所詮僕の中にある過去の事件に打ち消されるぐらいだった…のかな
 
 
人なんて殺したくなかった。
両親だって妹だって僕は殺したくなかった。
ただみんなを守りたかっただけなのに…
 
 
僕が助けたいと思った時は誰かを不幸にする。だったら助けずに見殺しにすればよかったのか?
違う僕は友達を。一也を守りたかっただけだったんだ。
 
 
結果はどうあれ最後に親友を、もう親友じゃないかもしれないけど僕はずっと友達と想い続ける。そんな親友を守れたんだ…いい人生だったのかもな。
 
 
 
「ゲーム終了!!
 
 
皆さんお疲れ様でした次のゲームが陣取りゲームの最終戦となりますので休みは5日とさせてもらいます。では最後まで頑張ってください。」
 
 
 
突然なったアナウンスは時間の流れを感じさせた。
 
 
ずっと目を閉じてるだけで生きちゃうなんてな…
 
 
死ねなかった。部屋には一也がいるから戻れないし、栞ももう僕のことなんとも思ってないだろな…むしろこんな殺人鬼軽蔑してるはずだ。
 
 
帰る当てもなくいち早く集会室を出て誰も来ない場所を探した。
 
 
 
1時間、2時間、4時間、8時間…
休む間もなく歩き続けて誰にも会わなさそうで静かな場所を探し続けた。
 
 
いつの間にか夜になりやっと見つけた何もない場所にポツンと一つ椅子が置かれまるで今の自分の状態を表すような椅子の後ろ姿をみて何か同じ物を感じそこに座った。
 
 
そこは月明かりがちょうど指す場所で物音一つならない最高の環境だった。
 
 
そんなわずかに指す光の強さにさえも負けてる気がして歯がゆい思いの中頭をかかえた。
 
 
そんな僕を慰めてくれるかのように明かりが強くなり涙が止まらなかった。
 
 
 
人と信頼を積むのは難しい。
だけど積んできた信頼を潰すのはどちらか一方のたった一つの発言だ。
 
 
今まで何度も何度も何度も何度助けられてきたのに高ぶった感情に流されその助けさえも僕は放棄したんだ。
だったらさ僕に生きてる意味があるの?だってここから出たって幸せなんかない。より一層の孤独。
 
 
あの日激しい雨の中刀の横で泣いていた自分がまた戻って来るんだ。
1人が怖い。
助けて欲しい。時間よ戻ってくれ。
なんて思ってる時はいつも2人がそっと手を差し伸べてくれたもんな…
 
 
このゲームにだって一也は参加する意味すらないのに命をはって僕を助けに来てくれた。
 
 
「ごめんよ一也…」
 
 
誰もいないこの場所に僕の声がジーンと響き虚しい思いだった。
 
 
栞に会いたいな。
僕がそう思っても栞はもう思ってくれてないだろな。
 
 
たった数日一緒になって付き合った。
そんな僕なんか正直いつでも捨てれるもんな…
あの遊園地まで時間を戻したい。
 
 
そうだ!ここを勝ち残って時間を戻してもらおうかな。。
 
 
そんなことを思った自分が情けなく腰にあった刀を持ち振り回し壁を切りつけた。
 
 
荒れ狂うように振り続け暴れまわり壊れゆく壁が自分の精神状態を表してるみたいだった。
 
 
そして刀が折れそこに座り込んだ。
 
 
「はははは。バカだな僕って。」
 
 
刀を地面に投げつけ泣き崩れた。
 
 
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