絶望の部屋(再)
一也とも仲直りができその夜は四人でワイワイと騒いでいた。
 
 
僕は途中で疲れたのかいつの間にか寝ていて次の日の早朝に目が覚めた。
 
 
みんなはぐっすりと寝ていて起こすのは悪かったので1人で散歩に行くことにした。
 
 
撃たれた足のせいであまり遠い場所には行けなかったが中庭的なとこがありそこにはベンチもあって風もいい感じに吹いていて落ち着く場所だった。
 
 
 
目を閉じ風の音だけを聞き一瞬でもいいから自分の置かれている環境を忘れたかった。
 
 
ヒューとなる風の音はまだ季節は夏のはずなのに肌寒く感じた。
まぁここに季節があるのかどうかもわからないけどね…
 
 
目を閉じて音だけに集中してると意外に色々な音が入ってきて今までにない感覚だった。
 
 
しばらくその状態で落ち着いていると僕の隣に誰かが座った。
 
 
一也かな…それとも栞か?
何も話してこないまま隣に座っていた。
 
 
目を開けようかとも思ったがせっかくいい気持ちになっていたので目を閉じたまま聞いてみた。
 
 
「あの…誰ですか?」
 
 
 
返事は返ってこなかった。
 
 
 
意を決して目を開けて見るとそこには誰も居なかった。
 
 
おかしいな…確かに誰か座ったはずなんだけどな…
 
 
 
少し気持ち悪かったので僕は急いで部屋に戻った。
あそこに居てはいけない。そう本能が感じとった。
 
 
 
部屋の前につき息を整えていると後ろから声が聞こえてきた。
 
 
「足怪我したんですね。」
 
 
「ははははは。
 
 
おいおい、わざわざお前の方から何の用なんだ?」
 
 
 
「特に何もありませんが、あなたあの七瀬とか言う女に色々聞いたみたいですね。
 
 
私のことさぞかし殺したいでしょう。ならここで殺して見ますか?」
 
 
「いや、遠慮しておくよ今は。
 
 
少し嫌な予感がするからね。」
 
 
「ふふふっ。
 
 
やっぱりあなたは察しがいいですね。」
 
 
僕とゼツボウはお互いの顔を見ることなく会話を終わらせた。
 
 
この時振り向いて居たら僕は死んでいたのかもしれない。
後ろから感じたただならぬ感じが僕にそう教えてくれた。
 
 
扉を開け閉まり際に僅な隙間から見えたゼツボウはいつもに増して気持ちの悪い姿だった。
 
 
思い出したくはないほど醜く何故か悲しいと思える姿だった。
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