絶望の部屋(再)
時間が経つにつれみんなの緊張はどんどん薄れていき普段の笑顔が見え始めた。
 
 
 
僕も少し気がかりだったが同じようにぐったりと座り込んで話し込んでいた。
 
 
 
一也は僕との思い出を2人に話して集中していて隠れんぼの最中とは思えないぐらい油断していた。
 
 
いま思えばこの油断がいけなかったんだ…
 
 
 
「一也。油断しすぎだよ。
 
そろそろ鬼が来てもおかしくないから集中しとかないと。」
 
 
「え?あ、おう。そうだな。」
 
 
 
そういいながらも一也は話をやめなかった。
 
 
「あっ、そう言えば!!」
 
 
「どうしたの?一也?」
 
 
一也は何かを思い出したかのように手紙のようなものを渡してきた。
 
 
「これあの眼鏡の女から預かったんだけどこのゲームに無事勝ち残った時もしくはもうダメだと思った時に読んで欲しいんだってよ。」
 
 
 
真理亜からの手紙…
 
 
何が書かれてるんだろ。気にはなるが真理亜が言ってるタイミングで読むのがいいんだろな…
 
 
「ありがとう。でもなんで一也が?」
 
 
「え?あぁ、なんか陣取りゲームの最終戦の時たまたま会ったんだよ。」
 
 
「そうなんだ。まぁありがとうね一也。」
 
 
 
僕は預かった手紙を懐に入れて1人集中して辺りを見回していた。
 
 
そう言えば一也がこのゲームが始まる前に言おうとしてたことってなんなんだろ…
 
 
「一也。そう言えばなんかこのゲームが始まる前に何か僕に話があるとか言ってなかったけ?」
 
 
 
「え?あぁあれね。あれは…」
 
 
一也が話を始めようとした途端またしても何が居るような気がした。
 
 
そうあの時と同じ感覚だ。
 
 
誰もいないはずのこの場所に何かを感じた僕はみんなに大きな声で指示を出した。
 
 
「みんなそこは危ないから早く散って!!」
 
 
僕がそう言うと飛び上がるようにしてみんな動きバラバラになった。
 
 
ドーンッと地面に何かが落ちたようにヘコみ大きな音がなった。
 
 
「ヨクキヅイタナ。」
 
 
不気味で聞き覚えのあるあの声は間違いなく鬼の声だと察した。
 
 
僕は慌てて一也と一緒に逃げ栞と七海は反対方向に逃げて行った。
 
 
 
栞は別れ際に大丈夫だからと言わんばかりの笑顔でこっちを見てきた。
 
 
信じるしかない今は。
あの見えない鬼はどこから襲ってくるかわからない今はあっちに向かうのは危険度が高すぎる…
 
 
ごめん栞。絶対迎えに行くから…だから生きていてくれ。
 
 
「行こう一也。」
 
 
「あぁそうだな。」
 
僕と一也は一緒に2人とは反対方向に走って行ったがその時一也が嬉しそうな顔をしていたのが少し気になったが僕は気に止める余裕がなかった。
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