あのね、先生。
茉央ちゃんは俺の言葉にコクンと頷いて、お風呂場へ向かった。
パタン、という音と共に閉まったドアを見つめていると、ため息が出た。
「あー…も、やば…」
余裕がないのは俺の方。
久しぶりに会った茉央ちゃんは大人っぽくて、すごく綺麗になった。
さっきだって一歩間違えたら、抱きしめて無理やりそういうことをしてたかもしれない。
一歩踏み止まれたのは、やっぱりあの子を傷つけたくないからで。
それでもここに連れてきたのは、どうしてもあの姿を俺以外の男に見せるのが嫌だったから。
…我ながらすごい独占欲だと思う。
傷つけるのは嫌だった。泣かせるのは嫌だった。だけど、これからそうなるかもしれない。
…だってもう、手放すつもりはないから。