あのね、先生。
優真 side
茉央との約束の時間はとっくに過ぎてたのに、引きとめられて時間通りに行くことが出来なかった。
それでも、楽しみだと言って笑った茉央を思い出すと、遅れてでも行くべきだと思ったんだ。
「茉央!」
それなのに茉央は俺の言葉なんて聞こえてないみたいに、何かを必死に探して追いかけていた。
俺もそれを必死に追ったけど、いつの間にか見失ってしまって。
どうしようもなくなって携帯に連絡するけど繋がらない。
別にいなくなるわけでもないからそんなに焦る必要はないのに、なぜかどうしても今見つけないといけない気がした。
「加地くん!」
「あ…高橋…」
「茉央見なかった?」