あのね、先生。
「…何すか」
「アテがないのに今から追いかけても見つかんねぇだろ。それに…」
先生は呆れたようにため息をついて、上を指差して言った。
「ほら、雨降ってきたし」
さっきまでの晴天はどこかに消えて、ポツポツと雨が降り始めた。
「とりあえず今日はやめとけ」
何だか妙に説得力のある先生の言葉に、頷くしかなかった。
「うわ、すげー降ってきた」
さっきまでポツポツとしか降ってなかった雨も、俺を引き止めるようにあっという間に豪雨になった。
「加地、中入るぞ」
全く喋らなかった白城が、高橋の腕を掴んで俺を呼んだ。
…さっきは言い過ぎた。別に白城が悪いわけじゃないのに、イライラして当たってしまった。