あのね、先生。
白城は多分蓮くんをこの場に誘っただけ。
茉央が蓮くんの姿を見つけたのも、追いかけて行ったのも、白城が蓮くんを誘ったこととは何の関係もない。
…悪いのは俺。
茉央を気持ちの部分で繋ぎ止めておけなかった俺が悪いんだ。
「ごめんな」
「…何で謝るんだよ」
「だって俺、別に蓮くんの味方したかったわけじゃないから」
そういえば、こいつそういうやつだったな、なんて思う。
茉央が蓮くんに振られたとき、俺が何か言ったっていうのを白城は知ってたのに、茉央に言わなかった。
こいつ優しいから、蓮くんと茉央の気持ちだけを優先することなんて出来なかったんだ。
「だけど、加地の味方もしないよ」
辛かったのは、当人だけじゃない。
…ずっと言えなかったこいつもまた、きっと辛かったんだ。