あのね、先生。

取り出してみると、画面に表示されたのは【咲良 茉央】の文字。

かかってこないと思っていた相手からの電話だったから驚いて、何も考えずに通話をタップしてしまった。

「あ…、もしもし」

学校で、しかも生徒の前で。

一応携帯は禁止だとか言ってる側の教師が、咄嗟に電話に出てしまった。


『…先生…?』

「…うん、どうしたの?」

俺は変えてるつもりなんてなかったけど、女子生徒には俺の態度が変わってるように感じたんだろう。

「蓮くん電話出ちゃったよ!」

「絶対彼女だよね!声優しいもん!」

「いやーっ、蓮くんに彼女なんて信じたくない!」

大きなその声は、電話の向こうの茉央ちゃんにも届いたらしい。


『…今学校?ごめんね、何かすごい…』

「ううん、大丈夫。こっちこそごめんね」
< 124 / 328 >

この作品をシェア

pagetop