あのね、先生。

手で生徒たちに帰るように促すけど、盛り上がってしまって帰る気配がない。

「ねー蓮くんあたしも声聞きたい!」

「あたしも!」

電話の向こうの茉央ちゃんは戸惑うばかりで、何度も切ろうか?と聞いてくる。


「蓮くんじゃなくて篠原先生でしょ。それに、声なんて聞かせません」

「あ!今言い方絶対彼女だ!」

注意したつもりだったのに、ますます騒ぎ出す生徒たちに、ついには茉央ちゃんまで笑い始めた。

『んふふ、先生相変わらず人気者だね』

「違うんだよ、バカにされてんの」

「あたしたち蓮くんのことバカにしてるつもりないよ!ねー?」

「そうだよ」

それを聞いて茉央ちゃんはまた笑って。

何で電話してきたのかも聞けないまま、くだらない会話を続けた。
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