あのね、先生。
『…ほんとに?』
「うん、ほんとに」
『…分かった』
「また後でね」と言うと茉央ちゃんは「うん」と言って電話を切った。
…困らせたかな。
ほんとに、最近自分が何を口走るか分からなくて怖い。
さっきだって、今日会うつもりなんてなかったのに強引に誘って。
俺は茉央ちゃんよりもずっと年上なのに、聞き分けのない子供みたいに茉央ちゃんを困らせる。
…だけど、やっぱりもう自制が効かないからどうしようもない。
…別れろなんて言わないよ。
そう言えば、茉央ちゃんはもっと困るって分かってるから。
でもいつか、俺だけを見てほしい。
俺だけのものになってほしい。
今すぐにとは言わないから、加地くんじゃなくて俺の傍に来てよ。
…それがいつになっても、俺はずっと待ってるから。