あのね、先生。
学祭の日、走ってどこかに行ってしまったのに梨花は何も聞いてこなかった。
あれからその話題が出ることもない。
それは梨花だけじゃなく、シロも優真も同じ。誰も、何も聞いてこない。
聞かれたらどう答えればいいか分からなかったけど、聞かれないと何もかもバレてるんじゃないかって不安になる。
「…何か、用事あるみたい」
「そっか、じゃあ一緒に帰る?」
「あ…ううん、あたしもこのあとちょっと用事があって…」
だって今日は先生に会いに行く。
そんなこと、絶対に言えないけど。
罪悪感は募っていく一方なのに、それでも会おうと言われれば断らなきゃと思ってても頷いてしまう。
会いたいと自分で言えないから、先生に言わせてしまってるのに。
…ズルいのはあたしの方。