あのね、先生。
ここに来るのは二度目。
それも今回は、自ら望んで来てしまった。
「…入らないの?」
玄関で立ち止まったあたしを見て、先生は困ったように笑う。
きっと迷ってることなんてお見通しで、だからちょっと悲しそうな顔をしてるんだと思う。
中途半端な気持ちが一番相手を傷付ける、なんて言うけどその通りだ。
この気持ちは、先生も優真も傷付ける。
「帰りたくなった?」
「え…?」
先生の声に顔を上げると、それと同時にギュッと抱きしめられた。
あぁ、また。
心臓が破裂しそうなくらいドキドキして、やっぱり実感するの。
あたし先生に恋してるって。
「でも、ダメ」