あのね、先生。

「せんせ…」

目が合って、コツンと額がぶつかった。

そのまま惹かれ合うように唇がピッタリとくっついて、先生は言う。

「帰さない」

あのときとは違う。先生じゃなくて、1人の男の人のカオをして。

帰さない、なんて言葉。


「茉央ちゃんが帰りたいって言ってももうダメ。今日は俺といて?」

先生はあたしの肩に腕を置いて、少し俯いたあたしの顔を覗き込む。

小悪魔だ。

もしも自覚がないなら尚更タチが悪い。

こんなの断れるわけないんだから。


「頷いてくれないとこのままここで襲っちゃうけど、いい?」

「えっ!」

「ほら、入って」

手を引かれて前と変わらない部屋に入るけど、何だか今日は先生のペース過ぎて頭が回らない。
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