あのね、先生。
俺にとって、一番守りたい大切な存在で。そうなったらもう、他の誰かじゃなく俺が守りたいって思った。
…あのとき蓮くんのことで泣いてた茉央を、俺が守ってやりたいって。
泣かせてた原因に俺も含まれるかもしれないけど、幸せになれないって分かっていながら蓮くんの傍にいる茉央が、いつか泣くなら。
俺の知らないとこで泣くくらいなら、嫌われたって引き離したかった。
どう思われたってよかった。後からもっと傷付いて泣く茉央を見るくらいなら、嫌われた方がマシだった。
…そこまでしたんだ。
今さら何があっても、俺は大丈夫。
だから、気付かないフリするよ。
多分、茉央も気付いてないから。
…髪で隠れて見えない首筋にある、紅く残った痕なんて。
俺はなかったことにするから。