あのね、先生。
「気づいたから来たんでしょ?あんなとこ、日常生活じゃ気づかないけどね」
やっぱりあんたか。
「日常生活じゃ気づかねーな、確かに」
蒸し暑いはずなのに、蓮くんは平然とした顔で椅子に座ってパソコンと向き合っていた。
…あぁだけど、イラついてんな。
だってほら、俺を見た蓮くんの目が完全に男の目だから。
「俺も昨日ベットで見つけたばっかだし」
イラついてんのは俺も同じだ。
ただキスマークを付けただけじゃないってことは、聞かなくても分かる。
…んなの、考えたくもない。
「…ほんと、むかつくね」
蓮くんは多分あのときからこうだった。
茉央と向き合ってるときは、この人の中に教師なんてものはなくて、ずっと1人の男だったから。