あのね、先生。

だけど、それが茉央ちゃんだとバレて、あのときの噂の生徒も茉央ちゃんだと思われるのはダメだ。

今の状況からしても、絶対。

だって茉央ちゃんは加地くんの彼女で、俺の彼女じゃない。

どう否定しても、浮気だって、そう思われるに決まってる。


「…一緒にいたのは認めるんですね」

「…だから、違いますよ」

否定しなきゃならないのは、元生徒と付き合ってることとかじゃない。

一緒にいたのが茉央ちゃんだってこと。


「私、分かりました」

あれだけコロコロ彼女変わってたんだから、少しくらいそのときの経験を活かせよ、なんて考えて。

「篠原先生は、一緒にいたのが誰かってことを隠したいんですね」

もしかしたら何となくで付き合ってたツケが今さら回ってきたのかも、なんて。昔の自分に嫌気がさした。
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