あのね、先生。
どうしても茉央ちゃんじゃなきゃダメだ。
それは目の前にいる吉野先生と同じ感情で、ただ違うのは相手が受け入れるか拒否するかってこと。
「俺じゃなきゃダメですか?」
俺がどうしても受け入れられないから。
そこが俺と違うところ。
「篠原先生がいいんです」
さらに距離を縮めた吉野先生は、俺に触れようと手を伸ばした。
やめときなよ、俺なんて。
だって俺、別の女の人のことを考えながら吉野先生に話しかけてたんだよ。
吉野先生と話してても、考えてたのはずっと茉央ちゃんのことだったんだよ。
「篠原先生、抱いてください」
甘ったるい声が聞こえて、手が俺の首元に回ろうとした時だった。
コンコン、とドアをノックする音が聞こえて、吉野先生は俺から離れる。