あのね、先生。
「…よかったんじゃないかな」
「え?」
「茉央、今幸せそうだよ」
確かに、加地と付き合い始めて咲良はよく笑うようになった。
何だかんだ1年以上付き合ってるみたいだし、大きな喧嘩をすることもなく順調にいってるらしい。
「…でもなー…」
でも、何でか納得出来ない。
別に2人の幸せを壊したいわけじゃない。
そんなつもり、全くない。
「…でも、何?」
時々、多分無意識にパッと頭に浮かぶことがあるんだ。
「俺今でも、咲良の隣歩くのは蓮くんってどっかで思ってんだよな」
咲良と蓮くんが仲良さそうに話すとことか、並んで歩くとことか、そんな恋人らしいとこなんて見たことないのに。