あのね、先生。
「今会うと余計にドロドロしますよね、完全に。そうなったら多分2人のこともバレるだろうし」
積み上げられたものの一部分が抜けると、それは音を立てて崩れ落ちてしまう。
今はまだそのときじゃない。
それも、他人の手で壊されるなんて。
「…それ、困りますね」
壊すなら、俺の手で。
「そんなこと絶対にさせないですけど」
俺の言葉に、中村先生はまた楽しそうに笑って、「そうですか」なんて言って立ち上がった。
「何があったら言ってください。協力も応援もしないですけど、話くらいなら聞きますよ」
協力も応援もしない、なんて言ってこの人は多分、俺が知らないうちに動いてくれたりするんだ。
それなら、俺はこの人が期待してる通りの結末になるように頑張るしかない。
「ありがとうございます」
もう絶対に後悔しないように。