あのね、先生。
「すぐ行くの?」
「ん、気をつけて帰れよ」
「うん、優真もね」
前と変わった週間に、少なからず不安を感じていた。
もしかしたら、先生と会っていたのがバレたんじゃないかって。だから優真はあたしが先生に会いに行かないように毎日一緒にいたんじゃないかって。
…だけどそれを聞けないのは、優真の傷ついた顔を見るのが怖いから。
ヴーッとポケットの中で震える携帯。
画面を見ると【篠原 蓮】
タイミングを見計らったような電話に、優真が歩いて行った方を見て確認してから画面をタップした。
「…もしもし」
『あ、出た。今日はもー出ないかと思ったのに』
「んふふ、何で?」
嬉しそうな先生の声に、外だということも忘れて笑ってしまう。
さっきまで優真といたのに、数分後には他の男の人とこうして笑いあってる。
先生は何度もあたしは悪くないと言ってくれるけど、一番最低なのはどう考えてもあたしだね。