あのね、先生。
『んー、今日も加地くんといんのかと思ったから。今日は1人?』
先生が電話をかけてくるとき、優真といて出れないこともあった。
先生はあたしが優真といることを分かっててこうして電話をかけてくることがある。多分、わざと。
「…うん、1人」
優真が用事があると言ったとき、だったら先生と会えたな、なんて考えてる自分がいて嫌になった。
ほんとに、最低。
こう思うたびに、先生と会うことを躊躇う。どんどん嫌な女になっていく自分がどうしても嫌で。
『じゃあ来てよ』
「…先生、でも…」
『会いたい』
だけど、やっぱり先生の声を聞くとダメだと分かっていても会いたくなる。