あのね、先生。

「茉央」

「あ、ちょっと待って」

そんなとき呆れながらも助けてくれたのは、今あたしを迎えに来た加地くん…じゃなくて、優真だった。

近くの薬局で絆創膏を買って来てくれた上に、あたしが歩けるようになるまで隣に座って待ってくれた。

あのときと変わらず、ほんとにあたしに甘すぎるんじゃないかってくらい優しい人なんだ。

…表には出さないけど。


「覚えてんの?今日」

「覚えてるよ、1年記念日でしょ?さすがに忘れないって」

「半年忘れてただろ」


あれから優真とは続いてて、これもいつの間にか1年を迎えた。

あのときと変わったことと言えば、お互いを名前で呼ぶようになったこと。

あたしは呼ぶのに苦労したけど、優真は早い段階からあたしのことを茉央って呼ぶようになった。
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