あのね、先生。

「何でそう思うんですか?」

知ってるとはいえ、はいそうですって頷けるわけないし。知らないふりしてこの場を乗り切るしかない。

話聞くんじゃなかった。

俺、協力も応援もしないって言ったのに。


「篠原先生って、誰にでも平等に接するじゃないですか?」

「あー、そうっすね」

「違ったんです」

「は?」

篠原先生、名前全然覚えられなくて、なんて笑ってたけど、そんなことない。

自分が受け持った生徒はちゃんと覚えてるし、まだ覚えてない生徒のことも覚えようとしてんの。

むしろ俺の方があやしいんじゃねぇか。

平等って意味では、確かに篠原先生は他の先生よりも先生っぽい。

それが何で、違ったって?


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