あのね、先生。

「…違ったって?」

「平等なんかじゃなかった」

「…どういう意味ですか?」

勘が鋭いこの人に、余計なことを言うのは確信を持たせるようなこと。

まぁ多分、とっくに気付いてるだろうけどさ。俺が肯定していいことじゃない。


「特別な子がいたんですよね」

咲良のことか。

「あんなに分かりやすくお互いが想いあってるのに、バレないわけないですよ」

あたしじゃ敵わない、なんて言って吉野先生は、目元を手で覆った。

そうだね。あんたじゃ敵わないよ。

ていうか、こんなに美人で性格もいいって評判のあんたが敵わないんじゃ、もう誰も敵わないって。


「…それで、どうするんですか?」

俺がそう聞くと、え?と言って顔を上げた。うわ、泣いてるし。

でも、俺あんたの味方はしないよ。
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