あのね、先生。

｢ごめんな、俺蓮くんに咲良が蓮くんのこと忘れるように協力してほしいって言われたんだ｣

シロにそんなことを頼んだってことも、先生は言わなかったでしょ？

グラグラと揺れていた気持ちが、どんどん傾いていく。

｢でも、蓮くんなりに考えて、咲良が傷付かない一番の方法だったんだと思う｣

｢…何、それ…｣

｢蓮くん、言ったんだ。バレたとき咲良が周りの生徒に傷つけられるくらいなら、離れた方がいいって｣


…先生、いつもあたしには言わないね。

あたしが傷つく前に自分で解決しようとするから、あたしがほんとはどうしてほしいのか分からないでしょ？

あたしあの時ね、バレるのは怖かったけどそれでも先生と一緒にいたかった。

｢…蓮くんなりに、守ったんだって｣

言ってくれないと、分からないよ。

ずっと好きだったんだって、好きだったけど突き放したんだって、言ってよ。

そしたらあたし、多分もう先生以外見えなくなっちゃうから。