あのね、先生。

「茉央、選ぶのは茉央だよ」

「え?」

梨花がシロの隣で優しく笑った。

あの時辛かったのはあたしだけじゃない。

先生に協力を頼まれたシロも、それを相談された梨花も、本当のことを言えなくて辛かったんだ。


「蓮くんのことはちゃんと話さねぇとって思ってたけど、俺ら蓮くんの味方するつもりないから」

「もちろん、加地くんの味方もね」

先生の味方も、優真の味方もしない?

こんな話をするから、きっと2人はあたしが先生と一緒になればいいと思ってるんだと思った。

「茉央がどっちを選んでも、誰も文句なんて言わないよ」

梨花のその言葉に、瞳にジワリと涙が浮かんだ。

絶対にダメなことだから、誰にも言えなかった。相談できなかった。

きっと言っても誰も話なんて聞いてくれないと思った。最低なことをしてるって分かってるから、そんなことしか考えられなかった。
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