あのね、先生。

日差しが暑い真昼に、彼の家の方向へと歩き出した。

学生はもう夏休み。

あたしと変わらない歳の子や、小学生や中学生をたまに見かける。

このまま変わらない状況のままだったら、一緒に海に行ったり、旅行に行ったりしたかもしれないね。

…ごめんね。

もう、やめよう。


携帯の電話帳の中から、彼の名前を探す。

前までは着信履歴に残ってたのに、最近連絡をとってなかったから。

画面をタップすると、電話は彼へと繋がった。そして、数十秒後に切り替わる。


『…もしもし?』

久しぶりに聞いた彼の声は、何だかすこしだけ暗くて不安になる。

「…もしもし、優真?」

『ん、どした?』

「今から会いたい」

ちゃんと、決めたよ。

< 222 / 328 >

この作品をシェア

pagetop