あのね、先生。
日差しが暑い真昼に、彼の家の方向へと歩き出した。
学生はもう夏休み。
あたしと変わらない歳の子や、小学生や中学生をたまに見かける。
このまま変わらない状況のままだったら、一緒に海に行ったり、旅行に行ったりしたかもしれないね。
…ごめんね。
もう、やめよう。
携帯の電話帳の中から、彼の名前を探す。
前までは着信履歴に残ってたのに、最近連絡をとってなかったから。
画面をタップすると、電話は彼へと繋がった。そして、数十秒後に切り替わる。
『…もしもし?』
久しぶりに聞いた彼の声は、何だかすこしだけ暗くて不安になる。
「…もしもし、優真?」
『ん、どした?』
「今から会いたい」
ちゃんと、決めたよ。