あのね、先生。
電話越しの大好きな声
先生は言ってた通り、あれから一度も連絡をしてこない。
あたしがちゃんと決めて、あたしから連絡するまで、会わないっていう約束もちゃんと守ってる。
だから、ちゃんと決めたよって。
傍にいていい?って言うために、あたしから連絡する。
【篠原蓮】
画面にそう表示されて、呼び出し音が何度か鳴る。
夏休みとはいえ、今の時間帯だと学校にいるはず。もしかしたら出られないかもしれない。
だけど、先生は出た。
『茉央ちゃん?』
久しぶりに聞くその声に、胸がキューッと締め付けられる。
「…先生、今学校?」
声が聞きたかったし、今すぐにでも会いに行きたい。だけど、まだ会いに行っていい状況じゃない。
まだ何も解決してないから。
『うん、学校だよ』
「1人でいるの?」