あのね、先生。
『あー、今中村先生いんの』
「えっ、中村さんもいるの?」
別に中村さんと話がしたかったわけじゃないけど、先生は電話を変わってくれた。
あたしは先生が中村先生がいるのに電話に出たことに驚いたんだけどな。
その場で電話に出たってことは、中村さんも知ってるってことでしょ?
『咲良?』
「わ、中村さん久しぶり!」
『久しぶり、じゃねぇよ。俺学祭行ったし。お前以外には会ったわ』
そっか。先生が学祭に来たあの日、中村さんも来てたんだよね。あたしが会わなかっただけでみんな会ったんだ。
『ま、いいけど。お前また昼ドラみたいなことになってんのな。』
「…昼ドラって…」
何のことを言ってるんだろう。
浮気、って意味では昼ドラなのかもしれないけど、中村さんの言う昼ドラはそんなんじゃない気がする。
『離れたりくっついたり、何してんだか。あんまフラフラしてっと、吉野先生みたいなのに持ってかれるぞ』
「…中村さん嫌い」
『はいはい、嫌いじゃないくせに』