あのね、先生。

「あ…えっと、先生に言わなきゃいけないことがあって」

『…うん』

先生の声を聞くのは久しぶり。

先生だって分かってるよね。今電話をかける理由なんて一つしかないから。

「あの、今大丈夫…?」

『んふふ、今さらそんなこと聞くの?』

「そ、だよね」

『大丈夫だよ。夏休みだし、今日は部活もないから。ちょうど中村先生と休憩してたとこなんだよね』

ドキドキした。

気持ちを伝えるのはいつだって、たとえ相手が自分の気持ちを分かってたって緊張するものだ。


「そっか、よかった」

電話で言うなんてズルいかな。

だけど、まだちゃんと解決してないから、先生には会えない。

「…あのね、先生」

『…ん?』

「あたし、ちゃんと考えたの。ちゃんと自分で考えて、決めたよ」

『…そっか』

先生もあたしと同じように緊張してる?
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