あのね、先生。
俺と白城と同じように用事があってきたのかもしれない。
立ち止まった俺に気づいて、彼女もまた驚いたように立ち止まった。
…会いたかった。
けど、会いたくなかった。
状況を変えなきゃならない、なんて思いながら、実際にこうして会うとそれさえも嫌で目をそらす。
「…優真…」
俺の名前を呼ぶ高めの声を、付き合ってるのにすごく久しぶりに聞いた。
それは俺が避けてたから。
こうして会って話すのが怖かったから。
「久しぶり、だね…」
あぁ、やっぱ好きだ。
「あの…あたし…」
好きだから、離したくない。
「えっ…優真っ」
前みたいにさ、俺のこと好きだって言って笑ってくれれば、それ以上なんてもう望まない。
それだけでいいんだ。