あのね、先生。

無視して歩き出した俺を、茉央は必死で追いかけてきた。

｢優真っ｣

止まったら、話すだろ？

俺聞きたくないんだって。

何を言われるかなんて、聞かなくても分かってんだからさ。


｢待って…、優真…っ｣

これ以上もう何も聞きたくなくて、茉央の声は聞こえてるはずなのに聞こえてないふりをした。


やっと手に入れたと思ってたのに、こいつの目に俺が映ったことなんて一度もなかった。

俺を見てるようで見てない。

その目に映ってるのは、いつだってそばにいない蓮くんだった。

俺の方が近くにいるのに。


｢お願い聞いて…っ｣

ダメだった？

俺、出来ると思ったんだ。

ずっとそばにいて大事にしてれば、いつか俺を見てくれるんじゃないかって。