あのね、先生。
全部無駄だったわけ?
俺、蓮くんより茉央のこと好きな自信あるよ。大事にする自信も。
俺を見てくれなくても、俺にとって茉央は一番大事だから。
「待って…!」
「っ…触んなよ!」
茉央が俺の腕を掴んで引っ張った。
キュッと掴む小さな手は愛おしいはずなのに、反射的に振り払う。
「あ…ごめ…っ」
そんなに悲しそうな顔すんなよ。
だって、お前が選んだんだよ。
こんな状況になることを選んだのは、望んだのは、茉央じゃん。
「でも、話聞いてほしくて…っ」
目に涙を溜める茉央を見てるのが辛くて、引き止める茉央を無視して歩き出す。
頼むから、今日だけ。
今日だけは何も言うな。
「優真っ」
また茉央が俺の名前を呼んだ。