あのね、先生。
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病院について茉央はすぐに看護師さんに連れて行かれて、戻ってきたときには痛々しい姿になっていた。
額に貼られた大きなガーゼも、腕と足に巻かれた包帯も、見ているのが嫌になるような。
それでも茉央はいつもみたいに「ごめんね」なんて謝って笑った。
「…帰ろう」
「…ん、そうだね」
幸い縫うことはなかったけど、思った通り頭をぶつけたらしい。
茉央の額に貼られたガーゼの下には痛々しい傷がある。
緩い坂道を降りてきた自転車と、軽くぶつかって転けてしまったらしい。
これが急な坂だったらとか、もしも自転車に乗ってた高校生が茉央を避けなかったらとか、考えるとすげー怖い。
多分こんなもんじゃ済まなかった。
あんな風に大丈夫だって、茉央の口から聞くことなんてできなかった。