あのね、先生。

「んふふ、その茉央ちゃんと連絡取れなくて困ってんの」

「は?」

「俺が電話しても出ねーの。掛け直してもこないし、多分気づいてて出ないんじゃないかな」

「…何で」

んなこと、俺に聞かれてもね。

声が聞きたいのに電話に出てくれないし、会いたいのにそれを伝えることさえ出来ない。

茉央ちゃん、俺待つって言ったけどさ、いつのまにか欲張りになってたみたいで。すげー会いたいんだ。


「知らない」

「知らないってお前…大学行くとか、いくらでも方法あるだろ?」

「まだ夏休みだから行っても会えないよ」

「あーそっか、大学生って休み長いもんな。行っても意味ねぇな」

生憎、家の場所は知らないし。

さすがに家まで行くつもりなんてなかったけど、ここまで会う手段がないとどうしたらいいか分からない。
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