あのね、先生。

「電話に出ないんじゃあなー…」

「どうしようもないよね」

茉央ちゃんの言った言葉は信じてるけど、それとは関係なく心配にもなる。

加地くんと何かあったとかじゃなくて、他に電話出来ない理由があるんじゃないかって。

「いつから連絡取れねぇの?」

「茉央ちゃんが、加地くんとちゃんと話すから待っててほしいって言った日から。あれ、どのくらい前だっけな」

「覚えてないくらい前ってわけ?」

「んー、高校はもう学校始まってたけど」


内心全然落ち着いてないくせに、ユータに話す声は自分で客観的に聞いててもすごく冷静に聞こえた。

「待つしかないのかもね」

「そうだけどさ、お前それでいいの?もしかしたら取られるかもよ」

「そんなことさせない」

待っててほしいって言われたなら、黙って待ってるべきだと思う。

そう分かってはいるけど、実際そうもいかないほど気持ちだけ焦った。
< 262 / 328 >

この作品をシェア

pagetop