あのね、先生。
「電話に出ないんじゃあなー…」
「どうしようもないよね」
茉央ちゃんの言った言葉は信じてるけど、それとは関係なく心配にもなる。
加地くんと何かあったとかじゃなくて、他に電話出来ない理由があるんじゃないかって。
「いつから連絡取れねぇの?」
「茉央ちゃんが、加地くんとちゃんと話すから待っててほしいって言った日から。あれ、どのくらい前だっけな」
「覚えてないくらい前ってわけ?」
「んー、高校はもう学校始まってたけど」
内心全然落ち着いてないくせに、ユータに話す声は自分で客観的に聞いててもすごく冷静に聞こえた。
「待つしかないのかもね」
「そうだけどさ、お前それでいいの?もしかしたら取られるかもよ」
「そんなことさせない」
待っててほしいって言われたなら、黙って待ってるべきだと思う。
そう分かってはいるけど、実際そうもいかないほど気持ちだけ焦った。