あのね、先生。
「咲良茉央さーん」
「はい」
受付の看護師さんのもとに行くと、顔を覚えてくれてたみたいで。
「早く治るといいわね」
「次来たときには包帯もとれるんで、そしたらすぐ治りますよ」
「そう、お大事に」
こうして会計のときに話しかけてくれるようになった。
あと一度来たら終わりだって思うと寂しい気もするけど、通院が最後だっていうのはいいことだ。
治ってる証拠だもん。
この間会った梨花には、中の怪我の状態まで見えないからすごく心配されたけど。
包帯が取れればそんなこともない。
少し大袈裟なだけだって言っても、みんな痛々しい包帯を見てあたしの言葉を信じてくれない。
確かにまだどの傷も痛いけど、確実に治ってるんだから。
まぁでも、その傷の治り具合は外から見ただけじゃ分からないもんね。
だからみんなを安心させるためにも、早く治さなきゃならない。
…先生に会うためにも。