あのね、先生。
外に出ると、朝来た時よりも日が照ってて生ぬるい風が頬を撫でた。
動かなくてもジワリと汗が滲む。
夏休みももう終わるのになぁ、まだ全然暑いから嫌になる。
病院なんて用事がなければ、きっと今ごろ家で好きなテレビを見ながら夏休みを満喫してるところだろう。
今年の夏休みは病院に行くか梨花と会うかだったなぁ。梨花と会うとたまにシロもいたりして。
結局4人で集まることはなかった。
誰もそれを言い出さなかったし、たぶんみんなそうするのが当然だと思ってた。
あたしのせいで、学生最後の夏休みなのに4人での楽しい思い出は何一つ作れなかった。
前にそれを梨花に言ったら、「夏なんてまた来るんだから、そんなの来年でも再来年でもいいよ」なんて言ってた。
就職してしまうとそれは今とは比べられないくらい困難になるはずなのに。
それを笑って許してくれるんだ。
シロに関しては「冬休みがあるじゃん」なんて言ってお気楽に笑ってたっけ。