あのね、先生。

「…じゃあ質問変える。茉央ちゃんそのとき誰といたの?」

「え…?」

分かりやすく表情を変えた。

…やっぱ、加地くんか。

それを責める権利は俺にはない。

2人は付き合ってるんだし、言ったら俺がこんなこと聞いてることの方がおかしいんだよね。


「…1人だったよ…」

だけど嘘を付くから、そこまでして庇いたいのか、なんて思って少し収まったイライラがまた顔を出す。

「んなわけないよね。」

1人でいたなら茉央ちゃんはもっと、笑って話してたんじゃないかな。

自転車とぶつかったんだって、俺がこんなに問い詰めなくても答えたでしょ。


「…加地くんといたの?」

答えないなら、そこまでして庇いたいならもういい。曖昧な聞き方はしない。

こんな話がしたくてここに来たわけじゃなかったのに、何で茉央ちゃんを泣かせてしまってるんだろう。
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