あのね、先生。

「でもね、ほんとにあたしの不注意だったの…相手の子も悪くないし、優真も悪くない」

「だから、庇わないでって」

そんなことでさえイライラしてしまう。


「っ…ごめんなさい」

涙を目にいっぱい溜めて、額のガーゼを隠すように前髪を抑えた。

久しぶりに会って、こんなこと言うつもりじゃなかった。泣かせるつもりなんてなかった。

茉央ちゃんこんな大怪我してんのに、何してんだよ俺。

「…も、分かったから」

ほんとは分かってるよ。

加地くんのせいじゃないって。ただ一緒にいただけだって。


「…俺こそ、ごめん」

だけど、分かっていながら素直に納得できないのはやっぱり、加地くんに嫉妬してるからだろう。

大人気ない。

俺の方が加地くんよりもずっと年上なのに、茉央ちゃんのことになると全然余裕がない。
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