あのね、先生。

「怪我、大丈夫なの?」

「うん…、そんなに深い傷じゃなかったから大丈夫」

「そっか、よかった…」

「……先生、怒った…?」

不安気な茉央ちゃんの目がジッと俺を見つめてくる。そんなのを見てたら、これ以上イライラした態度をとることなんて出来なかった。


「ちょっと、だけ…」

「…ごめんね。でも、あの日は…」

「分かってるよ。加地くんとちゃんと話をしようとしてたんでしょ?」

そう言うと、茉央ちゃんはコクンと頷く。


「結局、ちゃんと言えなかったけど…でも、絶対にあたしの口から言うから、もう少しだけ待っててほしい」

俺ほんとは、俺の口から加地くんに言おうかな、なんて考えてたんだ。

でもやめた。

「…うん、分かった」

茉央ちゃんがそう言うなら、俺はいつまででも信じて待つつもりだから。
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