あのね、先生。
「怪我、大丈夫?」
隠したってこう聞かれることは何となく想像してた。
だけど、いつまでも傷跡のことを優真が気にするのはあたしも嫌だから。
「うん、ほとんど治ってるから大丈夫。もう痛くないよ」
そう言って笑って見せれば、優真は安心したようにそっか、と言って視線を外す。
「…ごめんな、急に」
少しだけ、ドキドキした。
それは決していい意味なんかじゃなくて、これから話す内容が、優真を傷付けるものだと分かっているから。
「…ううん、あたしも話したかったから」
きっとあたしが優真の立場だったらね、こんな風に話したり出来なかったよ。
相手が自分以外を見てるって分かっていながら、これから先の話なんて出来ないよね。
「茉央」
「ん?」
「俺、茉央のこと好きだよ」
優真の気持ちが分かるから、こんなにも涙が出そうになるんだよね。