あのね、先生。
「咲良さん知らないの?この花、″変わらぬ心″とか″永遠に変わらない″って花言葉があるの。」
「え…?」
「だからてっきり、記念日に彼氏に貰ったのかと思って。ほら、スターチスってほんとはわき役だし、わざわざそんな花をくれるくらいだから、そういう意味でくれたんじゃないの?」
″スターチス″
この花の名前を、あたしは今知った。
そんなことさえ知らなかった。
だって、先生はただこの花を選んだだけだと思ったから。
…意味があるなんて知らなかったから。
「咲良さん、スターチスだけを貰ったの?」
「…はい」
「じゃあきっとそういうことよ。本来なら他の花と一緒に花束にするものだから」
…ダメだ。
内側から何かが堰を切ったように溢れて来るのが自分でも分かった。