あのね、先生。

「…そ、よかった」

一瞬でも、俺を見てくれたなら、俺を好きだって思ってくれたならもういい。

そうだったなら、やっぱり2人で過ごせた時間は幸せだったんだって、改めて思えるから。

「茉央」

「ん?」

俺はもう隣を歩くことはできないけど

「幸せにしてもらえよ」

後ろから背中を押してやるから。


「…俺が諦めつくくらい、幸せに」

「うん…っ」

茉央は一番好きなやつの隣で、一番幸せにしてもらえ。


「ありがとう、優真」

やっぱり俺さ、そうやって嬉しそうな顔見れる方が、何倍も嬉しいから。

俺みたいに悲しい顔させない、蓮くんの隣で、ずっと笑ってて。

俺はそれを見ててやるから。


「ありがとな、咲良」

振り返らずに、行ってこい。
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