あのね、先生。
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勢いよくそのドアを開けると、中にいたその人は驚いたように俺を見た。
「…何で?」
「会いに来たんすよ、わざわざ」
俺がそう言うと、その人はやっぱり特有の笑顔でそっか、なんて言った。
「俺のこと殴りに来た?」
「殴られる覚悟が出来てるなら、一発くらい殴っとくけど」
俺がここに来る理由は、いつだって茉央が絡んでた。
「そんなこと言ってさ、ほんとは殴りに来たわけじゃないくせに」
ほんとに、相変わらず何でもお見通しってか。ムカつくな。
「……蓮くん、その絵…」
「最後まで描くって約束したんだよね」
休みで部活もないのに何で絵なんか描いてんだろうって思ったんだ。
だけど、分かった。
最後まで描くって約束した相手も、誰の絵を描いてるのかも。