あのね、先生。
「…ってことで、いい?」
「無理って言っても蓮くんはやれっていうんじゃねーの?」
「んふふ、そうだねぇ。でも、加地くんは無理なんて言わないでしょ」
蓮くんはもう完成しかけている絵を見つめて、嬉しそうに笑う。
こんなにのんびりしてる人が、茉央のことになると男の目をするんだよな。
「俺に頼んでいいの?俺、もしかしたら約束破るかもよ?」
「なーに言ってんの」
やっぱり、茉央の隣を歩くのは蓮くんだって、前から決まってたのかもな。
「加地くんはそんなことしないって俺知ってるから、大丈夫」
「…マイペースだねー、蓮くん」
思い出した。
俺が転校してきて初めて蓮くんと話したときから、この人のマイペースは変わらないし、そういえば少し強引なところもあったっけ。