あのね、先生。
「ま、いいけど。白城と高橋にも聞いてまた連絡する」
「うん、よろしく」
蓮くんから渡された、蓮くんの幼なじみの連絡先を携帯に登録した。
【田村祐太郎】
どうやらこの人にも協力してもらうらしい。急に連絡して大丈夫かと聞けば、この人俺には甘いから大丈夫、なんて柔らかく笑った。
「またね、加地くん」
「ん、バイバイ」
美術室から出て、生温くなってしまったカフェオレを飲んだ。
「うえ、あっま…」
やっぱりこれ、俺苦手だわ。
だけど、最後まで飲み干した。
俺が大事にしたいと思えた女を、一番幸せにしてくれる男の頼みを、何でもない顔して聞いてやろう。
それが俺が茉央に出来る、精一杯のはなむけだから。