あのね、先生。

それに、先生からの連絡もまだだったから、みんなといる方が気が紛れる。

優真と別れて先生に連絡すると、先生はいつもと変わらない優しい声で、「もう少し待ってて、俺から連絡するから」と言った。

先生は迎えに行くって言った。

だから、あたしは待ってる。

その時間はもどかしいけど、先生があたしを待っていてくれた時間に比べれば、どうってことない時間だ。

待たせた分、ちゃんと待ってるつもり。


美術館に行くのもね、4人で行くからっていうのもあるけど、先生が見ているものを少し見てみたかったからだよ。

きっと、先生は何度も行ってるだろうから、あたしも見てみたくなったの。

だから楽しみだった。

それなのに


【ごめん、高橋と俺遅れる!】


シロからそんなメッセージが届いたのは、あたしがもう美術館のすぐそばまで来たときだった。
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