あのね、先生。
あたしのための絵。
先生、きっと覚えてないと思ってた。
何年も前だし、この絵の話なんて再会してから一度も出てこなかったから。
「その約束果たしてからじゃないと、ちゃんと言えないと思ったんだよね」
近づいてきてあたしの前でピタリと足を止めた先生は、それあげる、なんて言ってその絵を指差す。
「いいの…?」
「だって茉央ちゃんのための絵だよ」
「せんせ、これ、あたしだって思っていいの…っ?」
「うん、もちろん」
ずっと気になっていた描かれた女の子は、あたしが見ても分かるくらい、あたしにそっくりだった。
「これってもしかして…」
「俺が初めて茉央ちゃんを見つけた日」
やっぱり。
もう一人の男の子は、間違いなくあのとき迷子になってたあの男の子だった。